こんにちは! たなけん院長です。
最近、暑くなってきました。連日、35度をこえる猛暑日つづきで本当にいやになります。
町ゆく人たちの服装もそれに合わせて薄着になって半袖、短パンで腕、足の肌の露出も増えていますね。
それとともに最近の若い人たちのなかでタトゥーをいれている多いと思いませんか? 外国人もよく入れているのでそれの影響でファッションとして気軽に入れているような風潮です。
ボクみたいな昭和生まれのおじさんはタトゥーというよりは入れ墨にやや抵抗があり、すぐに怖いというイメージを持ってしまい、なかなか若い子のようにファッションと捉える事ができないでいます。
私も職業柄、手術の際にはたくさんの患者様の裸を目にするので服を着てたら分からないタトゥーをしょっちゅう目にします。
その中で私が経験した、最も心温まる入れ墨、ハートウォーミングなタトゥーをお紹介します。
患者様は30代の男性で金髪の丸坊主で180cmをこえるガッチリとした体型のいわゆる ”コワモテ” な方でした。
彼はヘルニアによる下肢痛で歩けなくなり、私が手術を担当する事になりました。
麻酔がかかり、手術ベットに寝ている彼のちょうど肩のあたりにはドクロや蛇、剣など皆さんの想像しやすい、いわゆるコワーイ絵柄がびっしりと書いてありました。
普段ならあんまりよく見たりしないのですがそこに英語でびっしりと何か書いてあったので何気に読んでみたら、訳します。
「ボクは何年何月にどこそこに生まれ、職人気質のお父さんと優しいお母さんの間に生まれました。お父さんは一生懸命仕事をして家族を養ってくれ、お母さんはいつも家族のためにおいしいご飯を毎日作ってくれました。ボクはそんなお父さんとお母さんが大好きです。2人の子供として産まれてきて本当に幸せです。」
と書いてあり、この毒々しい絵柄とあまりにも優しい文面にびっくりしてしまいました。
あんまり、こんなタトゥーみたことがないので人は見かけによらんもんやなぁと感心してしまいました。
手術も無事終了し、ご両親にお会いしたところ、文面通りの職人気質のようなマジメそうなお父さんと見た目ですぐに分かるくらいの優しそうなお母さんでした。
お二人に手術のご報告を済ませたところ、最後にお父さんから
「先生、先生の腕を見込んでお願いがあります。」
「何でしょうか?」
「ムスコの入れ墨を取っていただけませんでしょうか?あんなモン入れてアイツは何を考えているんでしょうか、私はあの入れ墨がイヤでイヤで仕方ないのでお願いします。」
「何言ってるんですか?親思いのいい息子さんじゃないですか。あの入れ墨だって書いてある内容も 〇ね!とか、こ〇す!とかではなく、お父さん、お母さん産んでくれてありがとう、みたいなことがいっぱい書いてありましたよ。」
と申し上げたらお父さん、一言、
「そんなモン、手紙でくれたらええ💢」
人に思いを伝えることは本当に難しいですね。という忘れられない患者様のお話でした。