こんにちは、たなけん院長です。
私はかなり多くの手術をするので昔から ” 先生は手術が好きでしょ? ” とよーく言われます。
はっきり言います。 「大嫌いです。」
よく考えてみて下さい。脊椎は大事な神経が通っていて、太い血管もすぐそばを通っています。
一歩間違えば、患者さまは下半身不随で歩けなくなったり、大出血で死に至る事だってあるかもしれません。
とにかく、昔から手術はめちゃくちゃ、怖いです。それが証拠に最近では外科志望の若い医者が減っているとの報道が目立ちますし、現に脊椎外科医はどんどん減っています。
どうしてそんな怖い事が好きになれるのでしょう?面白いと思えるのでしょう? 手術せずに治せる方法があるならすぐにでも教えてほしいくらいです。あれば明日から弟子入りします。
何十万もする健康食品や東洋医学、何十万もする注射なんかで簡単にヘルニアや狭窄症が治るんなら全国の先生たちがやってます。ほんと、治す方法が手術しかないから仕方なく、やっているのです。こんな危険な事が好きな人がいたらどうかしています。
私はむかし、尊敬する人にこう言われました。
好きなことを仕事にしてはいけない、得意なことを仕事にしなさい
野球選手のイチローがデビューした頃に年間最多安打を記録した時にインタビューでこう言っていたそうです。
「ボクは野球が大好きで夢のプロに入り、試合に出てヒットを打つことがうれしくて、楽しくて仕方なかった。しかし、最多安打記録を作ったこの日を境に野球が仕事になり、ファンに対する重大な責任が生まれました。それ以来、あれほど好きだった野球が大嫌いになりました。」
つまり、仕事(プロ)はお金をいただく以上、重大な責任が生まれる。責任が生まれれば当然、ミスなどは許されるモノではなく、伊達や酔狂で出来るようなことではないということです。
もしもその仕事が好きであったとしてもそれが自分に向いていなかったり、得意でなかったとしたらお客さんや患者さまには迷惑な話である。だって、趣味や好きで仕事をする人は仕事が出来るならお金もいらないし、仕事が出来るだけでいいみたいなことを言い始める。つまり自分本位であるその考えには当然、責任感が生まれにくくなる。
その点、好きではないが得意なことを仕事にすると自分の仕事に厳しくなり、冷静にお金をいただくためにしっかりとした仕事をしようと努力するようになる。とその方は教えてくれました。
私もそうです。人の人生を左右するようなこの仕事が好きや趣味のように出来るわけはなく、ただただ、誰よりも得意なのでそれならばもっとしっかりとした仕事を患者さまに提供し、満足していただき、その見返りとしてよりよい生活のためにお金をいただけるように努力する。
だから、毎日、嫌いだけどチョー得意な仕事を一生懸命しています。
なので 手術は好きですか? はい、大嫌いです。といつもはっきり答えています。