こんにちは、たなけん院長です。
今日は勤務医時代のお話しをしようと思います。
私が勤務医をしているときに医者の仕事で一番イヤなのは何?と聞かれたら迷うことなく、ダントツで 当直 と 宅直 と答えます。
当直は分かると思いますが宅直とは念のために分からない方のためにご説明すると大病院では救急医療をしているので日曜、祝日の休みの間も患者さまを受け入れており、搬送された患者さまがもし当直医の専門分野と違った場合にはお休み中の専門科の先生を呼ばなければなりません。
その休日に呼ばれる専門科の先生は当番制となっており、当番の先生はいついかなる時でも携帯電話に出られるようにして、なにかあればすぐに電話に対応しなければなりません。
しかし、いつも病院からの電話とは限らないため、電話がなる度にドキドキしなければなりません。
家にいるのに気持ちは少しもリラックス出来ません。いつ連絡が来るか分からないというのは本当にストレスで当時、私は宅直の日に電話が鳴るたびに心臓がキュッとなっていました。
だから宅直はほんと、心臓によくないです。
また、当直はさらにイヤで私たちの時代は今と違って勤務時間に制約はなかったので一日、仕事した後に当直してその次の日も仕事をするなんて事は当たり前の時代でした。
だから当直の前日なんかはプチ鬱になったりしたものです。
当直には当たり外れがあり、当たりの日はもちろん、夜中も1回も呼ばれず、朝までぐっすり眠れたみたいな日のことを言い、そんな日の当直明けの朝は本当に清々しい、気分がいいものです。
反対にハズレの日はどういうことかというと救急車が何台も来るとかメチャメチャ、外来に患者さんがたくさん来院したとか想像しがちですが全然違います。
むしろ忙しい方がいいくらいです。
なぜかというと忙しいと時間があっという間にすぎるからで気がついたら終わってたみたいになるので逆にツラくもないもんです。
それより、こういう患者さんがくるときです。
夜中2時ごろ、救急車が来るといってたたき起こされるんで、その日一日仕事して疲れているところに眠い目をこすって行ってみると
「晩に食べたサバの骨が喉に刺さって痛くないけど気になるので診てください」とか
「1週間前からちょっと喉の調子が悪くて咳もでるので様子みてたんですが今日から熱っぽいので来ました。日中は病院混んでいるので夜に来ました。」
こんな日の当直開けの朝は疲れが何倍も何十倍もたまります。
だから歳を取るに従い、先生達は当直をしなくていい病院に転職したり、開業して一生、当直や救急外来をしなくていいようになります。
だから、当直で頑張っている若い先生や歳をとっても当直しないといけないような大病院の先生方には頭が上がりません。
どうか、今日も平穏な夜でありますようにと願ってやみません。