こんにちは、たなけん院長です。
今日は最近、当院で始まった治療法、脊髄刺激療法についてお話ししたいと思います。
脊椎の手術をしている先生なら、どなたでも必ずといっていいほど、手術しても腰の痛み、脚の痛みが残ってしまい、日常生活が不自由になっている患者さまや昔から痛みで長年、お悩みの患者さまがたくさんいらっしゃると思います。
かくいう私もそういった、たくさんの患者さまを担当しています。
しかし、最近、業者の方から「脊髄刺激療法」という治療が見直されていることを案内されて講演を聴きに行きました。
発表されている先生もかなり手応えを感じておられ、手術を主体としている私でさえ、これからの治療の主流になりうる予感を感じさせるものでした。
脊髄刺激療法とはどういうモノかというと人間の知覚、運動はすべて電気の流れで制御されています。
冷たい、熱いなど手からの情報はいったん、電気信号に変換され、神経を介して脊髄に伝わり、それが脳に伝わり、アツい、冷たいを感じています。
だいたい、神経の伝わるスピードは秒速50-60Mです。すっごい、早いでしょ!
その逆に歩くときは脳から脊髄を伝わり、脚の筋肉に電気が伝わり、歩く事ができます。
腰の痛み、脚の痛みを慢性的に感じている方は狭窄症、ヘルニア、あるいは手術後、神経が傷んでしまい、それが元に戻らないために痛いという電気信号が常に脳に伝わっている状態だと考えてください。
それはなかなか、薬、注射では効かないものなので我々、脊椎外科医は昔から苦労していました。
そこで痛みの元となっている神経の損傷は治す事ができないのでどうしたらいいかと考えたときに痛みの電気信号を脳に送りにくくすればいいのではないかと考えた頭のいい人がいました。
その人は背骨の神経のそばに電線をおいて痛みの信号が通る度に邪魔する信号を流したところ、痛みを感じにくくなることを証明しました。
10年以上前にその治療法は「脊髄刺激療法」として実際の患者さまに行われるようになり、海外では非常にたくさんの方が救われていました。
私はこれを最初に見たときに勝手に「脊髄ペースメーカー」と名付けました。
皆さん、一度は見たことがあるかもしれませんが左胸に小さな電池が入っている、あの治療法です。
心臓のペースメーカーとは心臓の動き、ペースが乱れ、それにより心臓の動きが悪くなるのでそのペースを電気を流して正してあげるものでそれの脊髄版と考えていただければわかりやすいかと思います。
つまり、痛みを感じるペースが常にあるため、神経に電気を流してそのペースを元に戻すということです。
しかし、日本ではこの2-3年前まであまり普及はしませんでした。
なぜなら、心臓のペースメーカーと違って、脊髄を刺激する電池はかなり大きなモノであったからです。
あれを腰の皮膚の下に埋め込むことは躊躇されたからです。
それも、時間の経過とともに電池がかなり小さくなったので多くの先生たちが始めようと思われたから最近、急速に普及してきています。
私もこの治療法を見てすぐに導入しようと思いました。
とにかく、難治性腰痛の患者さまにこれまで何もできなかったという悔しさがあるので一縷の望みを託して、先日、患者さまに治療したところ思わぬ結果がでたので、次回、ご報告いたします。
この治療法は将来の脊椎の治療を劇的に変える可能性のあるものであると私は勝手に思っています。(ますます、私のような脊椎手術をする医師は絶滅危惧種になるでしょう)